南任 瑠璃
2023
私は絵画を見ることが好きで,作者はどんな想いでその景色に何を感じながら描いたのだろうなどと考えながら美術館によく足を運んでいるが,そんな中「絵画が動いたら面白いだろう」と思うことがよくあった.近年デジタルデバイスの普及によってアート作品にも様々な種類や形態が可能になり,鑑賞者の楽しみ方も多種多様になってきている.一方で,伝統的な絵画などのアート作品は鑑賞の仕方が未だ限られている.動かないからこそ,その一枚に込められる描写に魅力があるのだが,今回は自分のこの思いから着想を得て,描かれた絵画の魅力を活かせるような絵画作品の映像化に踏み込んだ.
絵画には,自身の好きな印象派絵画の巨匠であるクロード=モネの作品を選んでいる.モネは自身の気に入った場所へ度々足を運び,そこにある情景を,季節を変え,あるいは時間を変え,何枚にも渡って描いている.それゆえ連作が多いのが特徴である.一つの場所から見える景色でもその一時一時で違う表情が描かれている名画たちは,絵によって受ける印象が異なり,その印象からはモネが目にし,表現したかった世界を感じられる.絵画の世界観を効果的に表現するビジュアルエフェクトの制作を行う本研究において,研究の有用性を確かめることも期待し,今回モネの絵画をモチーフとし映像作品を制作した.
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